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LITZHAUS
2004/6/15

ARPスライダーの洗浄

arp これくらい予備を持ってても… arp
こんな感じ腐ってたりします。一応新品なのに…

スライダーはARPオデッセイ等のパーツの中でも一番経年劣化に弱いところです。大抵はグリスが切れ渋くなり、ガリが発生します。最悪の場合、内部のカーボンが剥がれスライダーの役目を果たさなくなります。ここで不適切な処置をすると、直らないばかりか余計ひどい状態になり最悪内部のカーボンが剥がれてしまいます。ちなみに、カーボンが剥がれたスライダーの修復は、まず不可能なので交換するしかありません。
特に、接点洗浄剤で脱脂した状態でスライドさせまくったり、怪しい接点復活剤を大量にまぶしたりすると、再起不能になります。 そんな時は分解洗浄です。

分解洗浄

まずは分解します。

両脇の金具をはずしますが、非常にもろいので折れないように注意してください。(注意しても折れますが・・・)折らないように外すには、数多くこなしコツをつかむしかありません。自信の無い人は危険なので絶対分解しないで下さい! 右図が構成パーツです。このカーボン部を外せば多少手荒に扱っても大丈夫なので、このとき、ボディとツマミを無水アルコールなどで洗浄しておきましょう。

右図の矢印のような汚れは綺麗に取っておくとスライダーの動きが良くなります。
また、金属の板が黄色く変色していたり、最悪の場合緑錆を噴いてる場合もあるのでよく掃除します。洗浄剤で拭いても落ちないときは(目の細かい)紙やすりやスチールウールなどで軽く擦っても良いです。大きな傷をつけないように気を付けてください。表面のメッキもなるべく剥がさないようにしてください。また、スチールウールを使う場合、細かい粉がシンセ内部に入ると最悪なので細心の注意を払ってください。カーボン部は非常にデリケートなのでとにかく注意して扱ってください。 ここには洗浄剤はかけない方が無難です。保護剤を少量かけて綿棒などで軽く拭いてください。端のほうには古くなったグリスが溜まっている場合は少しずつ綺麗に落とします。
綺麗になったら表面をよく観察してください。カーボンが剥がれている部分がありませんか?あまりにひどい場合はしょうがないですが。ブラシの後が多少削れている程度であれば、ブラシを少し曲げてカーボンの削れた部分を避ける様にすればごまかせます。 最後に保護剤をもう一度かけます(数滴程度で良い)。スクアラン系のものは浸透性が高いので時間を置いてもう一度かけてもいいと思います。

最後にグリスアップをします。レールの部分にグリスを入れてください。グリスを入れたら仮組みしてスムーズに動くか試してみます。粘性の低いグリスではスライダーが軽くなってしまいますが、それはしょうがないので目を瞑りましょう。気に入らない場合は粘度の高いグリス(粒子は細かいもの)をなんとか手に入れてください。
あとは、組みたてるだけですが、オシレータなどを持っている場合は、ためしに音を入れてガリが無いかチェックしてから組みたてたほうが良いと思います。固定金具は非常にもろいので折れないように注意してはめてください。もし折れてしまった場合は、エポキシでくっつけるなり、インシュロックで縛るなり、適当に修復してください。
以上で終了です。これで直らない場合は交換するしかありません。しかし、交換用スライダーの入手は非常に困難です。最悪の場合、アルプスなどのスライダーで長さが同じ位のものがありますので、それの土台にプラ棒などで下駄をはかせて基盤に接着してしまうという方法もあります。タッチや感覚が変わってしまいますが、ガリとは無縁の滑らかなスライダーを手に入れることができます。

2004/6 補足
  • 脱脂系の洗浄剤を使った場合、必ずグリスアップしてください。壊れます。
  • 接点洗浄剤や復活剤には、カーボンや樹脂を冒すものもがあります。そういったものは使わないでください。気になった場合はメーカーに問い合わせると教えてもらえると思います。
  • 一般に入手できる信越シリコンなどのグリスは粘度が低いので、タッチが凄く軽くなります。出来れば、粘度の高いものを探してください。
  • このスライダー、日本国内では非常に入手困難ですが、海外にはまだまだあります。私はアメリカのジャンク屋で買ってきました。ただし、当時から在庫されてたものみたいなので、かなり腐ってます。

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